写真家・荒木経惟の映像作品「アラキネマ」より『青ノ時代』と『去年ノ夏』が写真集として刊行した。出版はNYを拠点とする出版社Session PressとDashwood Booksによる共同発行。JAPAN EDITIONとUS EDITION二種類のスリップケースで展開しており、US EDITIONは、現在twelvebooksオンラインストアと限られた店舗でのみ数量限定で販売中。
荒木は「私写真」と称し、自身の日常をありのままに撮影した写真作品を制作。これまで500冊以上の写真集を出版してきた。しかし、今回の写真集の題材となっている「アラキネマ」については、あまり知られていない。
80年代中期から約20年間、実験的な同作品を制作し、ライブ上映してきた荒木。本写真集では、ライブの臨場感や雰囲気をできるだけ忠実に再現するために、両作品が上映された際のオリジナルスライドに基づいて編集、制作。
『青ノ時代』『去年ノ夏』はともに2005年に発表された作品。前者は1980~90年代に雑誌『写真時代』に掲載した作品をまとめている一方、後者は2005年前後に撮り下ろした作品を使用している。
両作品とも、ヌードとポートレートを軸にしながら、オリジナルの写真に手を加えることで力強い効果を生み出している。『青ノ時代』では薬品で脱色した色褪せたブルーが、まるで夢か消え去っていく記憶の中にでもいるかのような、メランコリックな儚さを作品にもたらしている。一方『去年ノ夏』は、明るく透明感のある色を写真の上に塗っていくことで、万華鏡が映し出す幻想的な世界を表現。作家自身も両作品が過去と未来を現す人生そのものであり対にして見られることをインタビュー(アートン:東京、2005年)の中で語っており、本書にも掲載している。
日本国外でこの映像作品『青ノ時代』 『去年ノ夏』 が出版物として発表されるのは初。Session PressとDashwood Booksというタッグも、写真集好きなら注目のポイントだろう。すぐに完売してしまう可能性もあるので、気になる方はお早めにチェックを。
text: Kanae Yamada
BLUE PERIOD / LAST SUMMER : ARAKINEMA 青ノ時代/去年ノ夏:アラキネマ
作家: 荒木経惟
出版社: SESSION PRESS、 DASHWOOD BOOKS
仕様: スリップケース(JAPAN EDITION / US EDITION)入りソフトカバー / 216ページ / 260 x 178.3 mm / カラー / 日本語、英語 / 2017年刊
発行部数: 1,750部
販売価格: ¥12,000
JAPAN EDITION / US EDITION
※内容やサイズ、価格など、スリップケースの絵柄以外はどちらも同じ仕様。