
Text Yukihisa Takei
ブランド設立当初より歩みをともにしたチームがが髙橋大雅の意志を継承したコレクション
「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」という、その哲学的とも言えるクリエイションによって大きな注目を集め始めた日本ブランドTaiga Takahashi。
しかしながら、デザイナーであり現代美術家の髙橋大雅が27歳という若さで2022年4月9日に致死性不整脈により逝去。ブランドの継続は発表され、その動向にも注目が集まっていたが、彼の急逝後、新たにスタートするAW23シーズンからブランド名をT.T に改名し、新たなコレクション「BETWEEN SKY & SOIL」の発表がアナウンスされた。
奇しくも髙橋の生前から、Taiga Takahashiは髙橋大雅個人・現代美術家としての名義で、T.Tは髙橋が手がけた衣服を制作発表するプラットフォームとして改名を予定していたという。
今後はブランド設立当初より歩みをともにしたチームが、今までのTaiga Takahashiの核心である「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」という意志を引き継ぎ、彼の生涯に渡って蒐集したコレクションを礎にし、考古学の観点から現在もしくは未来にも存在する服を研究し、発表していくことになる。
髙橋大雅が遺した言葉は以下。彼自身のその後の活動を非常に楽しみにしていた人も多いはずだが、彼の遺志を継いだチームがどのようなクリエイションを継続していくのかにも注目したい。
未来は過去にある。
いつも新しいものをつくりたいと思っていた。
しかし、いま新しさは飽きることなく消費され、時代の奥底へと沈んでいく。
そのような社会において価値あるものとはなんだろうか。
急速な時代の流れの中で置き去りにされ、人の記憶から抜け落ちていった大切な何か。
時の移ろいによって磨かれていく、日本古来の美意識のような。
時間や自然、人といったコントロールできない偶発的な物語にこそ、美しさがありこころを満たす余白があるのではないか。価値あるものだけが時を超え、生み出すものの想いとともに未来へと生き続ける。
過去の遺物を、いまに甦らせることで未来の考古物を発掘するのだ。
髙橋大雅
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T.T
https://taigatakahashi.com