ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする好評連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。今回も5つのブランドから気になる最旬アイテムをピックアップ!
Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu
is-ness
JACKET
“全部がポケットとして使えるようになってるのがすごい”(武井)
来田拓也(以下 R):GENERAL RESEARCHのパファージャケットにフードを追加したことで、面白い効果が生まれたis-nessリデザインな一着です。
武井幸久(以下 T):ポケットがたくさん付いているのがGENERAL RESEARCHのデザイン?
R:そうです、「パラサイト・ポケット」って呼ばれているシリーズです。
渡邊敦男(以下 W):GENERAL RESEARCHのデザインを、is-nessがさらにアレンジしたってこと?
R:ポケットが多すぎて、何をどこに入れたら良いか分かりませんね(笑)。
T:だけど全部がポケットとして使えるようになってるのがすごい。
W:フードにもポケットが付いてるんだ。
R:このアイデアが最初に出てきた当時って、すごい時代だったんだろうなって(笑)。
W:20年ぐらい前のコレクションでこのパラサイトデザインを披露したんだけど、プロダクトのインパクトが凄すぎて、唖然としたのを覚えてる。
T:長い年月を経た今でも、目新しいものに見えるのは面白いですね。
GENERAL RESEARCHの名作として知られるパファージャケットを、is-ness流にリデザイン。ジャケット全体にこれでもかというほどポケットが配されており、しかもその全てが実用も可能。飲み薬などをしまっておいたら、どこになにを入れたか分からなくなっていざという時に混乱すること必至か。
GENERAL RESEARCH PARASITE FOR IS-NESS
JACKET ¥154,000/イズネス(alpha PR)
TEL : 03-5413-3546
TIGHTBOOTH x F/CE.®
ベスト、パンツ
“TIGHTBOOTHなシルエットですよね”(来田)
R:3レイヤーの生地を使っていて、ストレッチ性と防風性のあるベストとパンツです。
W:TIGHTBOOTHとのコラボレーションだから、スケボーもできそう。それにしてもパンツかなり太いね。
R:TIGHTBOOTHなシルエットですよね。けどF/CE.®とのコラボレーションって意外だなと。
T:意外な組み合わせだよね。
W:ベストはフィッシングベスト?
R:アウターの上に着られる提案らしいですけど、キャンプシーンとかにもマッチしそうですね。
T:良い意味でF/CE.®らしくないし、らしいといえばらしいアイテム。
山根敏史がデザイナーを務めるF/CE.®と、プロスケーターの上野伸平が2005年に立ち上げたTIGHTBOOTH PRODUCTIONによるコラボレーション。TIGHTBOOTHらしいアイテムが、F/CE.®のテクニカルな素材で表現されている。
TIGHTBOOTH x F/CE.
ベスト ¥35,200、パンツ ¥38,500/タイトブース ×エフシーイー(エフシーイーフラッグシップストアトウキョウ)
TEL : 03-6452-5867
Children of the Discordance
BANDANA ANORAK
“プロダクトとして匂い立つ感じが出てきている”(武井)
R:ヴィンテージのバンダナを染め直して作っているブルゾンです。
T:染め直しているんだ。元からこういう色のバンダナってないもんね。写真家のNAOTO YOSHIDAさんが手書きしたアートワークをプリントした、オリジナルの生地を使っているみたいですね。
R:プロダクトとしてカッコいい一着だなと思います。
T:このバンダナを使ったアイテムはブランドに定着してきたし、雰囲気がある。ただバンダナ使っているっていうだけじゃなくて、プロダクトとして匂い立つ感じが出てきているよね。
W:売れそうじゃん。
志鎌英明がデザイナーを務めるChildren of the discordance。ヴィンテージのバンダナを用いたクリエイションが象徴的なブランドがさらに進化したことを感じさせる、バンダナ後染めによるプロダクト。
Children of the discordance
BANDANA ANORAK ¥195,800/チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(STUDIO FABWORK)
TEL : 03-6438-9575
77CIRCA
MA-1
“幅広い着こなしで使えるアウターが結局は正義だよね”(渡邊)
R:元々はウィメンズが強いブランドだったんですが、リメイクのアイテムとか最近はメンズウェアも話題になっています。
W:アームがすごい太い作りになってるね。
T:今シーズンは色々なブランドがMA-1を出してますね。
R:面白いのがこの内側のアジャスターでシルエットを調整できるんです。一時期こういうビッグシルエットのMA-1って流行りましたよね。
T:デザイナーの方は女性?
R:いえ、男性の方なのでウィメンズの洋服も、少し男っぽくてカッコいいアイテムが多いです。
W:無地でシンプルだし、バランスも良いね。今っぽいコーディネートが組めそう。
T:一着持ってると便利そう。
W:幅広い着こなしで使えるアウターが結局は正義だよね。
ウィメンズから人気に火がついた77CIRCAによるMA-1アウター。従来のMA-1をサイズアップして、ミリタリールックとはまた異なるテイストに仕上げている。内側のアジャスターによってシルエット調整も可能。
77CIRCA
MA-1 ¥63,800/77サーカ(77サーカ)
TEL : 03-6407-9466
CONVERSE ADDICT
Chuck Taylor
“見るだけじゃCONVERSE ADDICTを履いてるのが分からないところが良い”(渡邊)
R:今回のCONVERSE ADDICTはピンクです。
W:俺のマイサイズである28.5cmは出るようになったのかな?
R:やっぱり今季もなかったです・・・。
T:これは言い続けましょう(笑)。
W:残念だし、履けるサイズがある人が羨ましい。こういうVibramのボリュームあるソールって結構好きなんですよ。
R:CONVERSE履いてる人かっこいいですもんね。
T:最近またCONVERSE履いてる人増えてない?
W:CONVERSE ADDICTって他のプレミアムスニーカーと違って、見るだけじゃCONVERSE ADDICTを履いてるのが分からないところが良いよね。
R:今回はトウやサイドのラインやヒールラベルの色がネイビーになっていて、そこもポイントです。
T:色に関して言うとこのピンクは良いですよね。蛍光色のCONVERSEをたまに履きたくなるけど、日本企画だとなかなかなくて。
R:CONVERSE ADDICTが出すカラーって綺麗な色が多いですからね。
CONVERSE 100周年を記念して2008年に誕生した“究極のCONVERSE”ライン。進化するヴィンテージをコンセプトに発売されるモデルはリリースのたびに人気に。コラボレーションモデルが話題になることも多いが、時代の流れを捉えたカラーのモデルも魅力的。今シーズンは10月にピンクのカラーリングで10月に発売。
CONVERSE ADDICT
CHUCK TAYLOR CANVAS OX ¥18,700/コンバース(コンバースインフォメーションセンター)
TEL : 0120-819-217
(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)
渡邊敦男(『PRODISM』編集長)
1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。
スタイリスト 来田拓也
1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。
武井幸久(HONEYEE.COM)
1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。