BEHIND THE PRODUCT #6
2022.02.24

2022SS注目コラボレーション・アイテム後編

ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。今回は2022SS注目のコラボレーション・アイテムを前後編に分けてお届け。




Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu


UNDERCOVER × Guidi

“高橋盾さんは実際に昔からこの色を履いてるらしいです”(来田)

渡邊敦男(以下 W):これはカッコいいよね。

来田拓也(以下 R):このカラーは(UNDERCOVERの)高橋盾さんが昔から愛用していて、今回はVibramのソールで別注したそうです。あとは本来ジップがシルバーなのが、ゴールドに変更されています。

武井幸久(以下 T):このシューズの後ろの角度すごいね。

W:Guidiの特徴ってそれですもん。

T:履いたときに出来るシワがカッコいいのか。

W:それと履きやすいというのもあるんじゃないですか?

T:nonnativeとかもコラボしてるよね。

W:そう、GuidiってPitti Immagine Uomoにも出展してるぐらいヨーロッパでは有名なブランドですよ。nonnative × Guidiを持ってますけど、そんなに履き込まなくても、革が足に馴染むから履きやすいですよ。

T:すごく細いけど、今回は別にシルエットは変えていないんだよね?

R:今回はソールとジップだけです。高橋盾さんは本当に昔からこの色を履いてるらしいので。

W:確かにこの色カッコいいもんな。パッと見はUNDERCOVERらしくないけど。

T:これでさらにGuidiブーム来るかな?

R:元々好きな方も多そうですしね。

W:モード好きな人とかに良いと思う。スニーカーに飽きてる人が結構いるから、ブーツの選択肢になると、コレに大枚はたいても欲しいって人は多いだろうね。

そのルーツは1896年まで遡ることができるイタリアの職人的レザーブランドGuidiと、UNDERCOVERによるコラボレーション。このブーツの愛用者でもあるUNDERCOVER デザイナーの高橋盾の強い希望で実現したという。

UNDERCOVER × Guidi
ブーツ ¥231,000 (UNDERCOVER) TEL :  03-5778-4805



Hender Scheme x Clarks ORIGINALS

“アッパーの縫い合わせ部分がピースマークになっているのが巧い”(武井)

W:コレはいわゆるHender Scheme特有のなめし革じゃないんだ。

R:素材はClarksのものみたいですね。Hender Schemeの“peace tip”モチーフを 外縫いにして出してるのが特徴かと。

T:このアッパーの縫い合わせ部分がピースマークになっているのが巧い。

W:最近、Clarksって流行ってる?

T: うん、今は結構流行ってると思う。特に女性が履いてるのをよく見る気がする。

W:他のブランドのコラボも見かけるから、全体的にClarksがトレンドなのかなって。

T:敦男さんは昔、Clarks履いた?

W:“ナタリー”とか履いてましたよ。

T:シブいチョイスだな。僕は完全に憧れの靴でしたね。ワラビーもデザートブーツも雑誌に毎号出てくるし、憧れて買ってたな。

R:僕もここ5年はClarksしか履いてないです。

T:一時期は終わったみたいな雰囲気で履きにくくなったけど、気が付いたらまた流行ってるみたいな。

W:Padmore&Barnes​​とは違うんだっけ?

R:Clarksのシューズを元々作っていたファクトリーがPadmore&Barnesです。同じ値段だったらClarks買っちゃいますけど(笑)。

W:今って普通のモデルでいくらぐらい?

R:2万円弱だったと思います。

W:今ってそんなにするんだ。昔は2万円以下だったと思う。

英国ブランドClarks ORIGINALSのド定番を、Hender Schemeがアレンジしたコラボレーションモデル。長年履き継がれてきた伝統的なイメージを壊すことなく、ウィットを感じさせるデザインはさすがの一言。

Hender Scheme x Clarks ORIGINALS
Desert Seam ¥31,900(Clarks Japan)TEL : 03-5411-3055



TAKAHIROMIYASHITATheSoloist. x SUICOKE × Vibram

“これ履きこなせたら、かなりお洒落”(来田)

W:コレめちゃくちゃ履きやすいらしいよ。

T:このコラボレーションはかなり意表をつかれた。

R:SUICOKE × Vibramが​​Five Finger Shoes​​を発売した初期から、宮下(貴裕)さんが好きで履いていたそうです。

W:このコラボで宮下さんらしさってどこがポイントなんだろう?

R:色と素材使いだと思います。

W:夏にショーツと合わせてグレーを履きたいな。

T:履くと意外に気持ちよさそう。

W:散歩とかにも良いんだろうね。

R:元々は沢歩きとかの用途なので、良いかもですね。Vibramはソールの会社なのにアーシング®(靴下や靴を脱いで、素足や素手で直接大地に触れること)を推してたり、ちょっと変わった会社です(笑)。

W:こういう靴って真っ黒のイメージだったから、グレーは新鮮かも。今ってグレーの靴が人気だしね。

R:これ履きこなせたら、かなりお洒落ですね!

今や日本のサンダルを代表する存在ともなったSUICOKE。ソールでも知られるVibramとコラボレーションして生まれたのがこの5本指シューズ。TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.のデザイナー、宮下貴裕がこのシューズの愛用者だったことからトリプルコラボレーションが実現。

TAKAHIROMIYASHITATheSoloist. ×SUICOKE × Vibram
Five Finger Shoes ¥29.700(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.AOYAMA)TEL : 03-6805-1989



REPRODUCTION OF FOUND for Graphpaper

“トータルコーディネイトありきで、このスニーカーは映えるのかもしれない”(渡邊)

R:REPRODUCTION OF FOUNDは、ミリタリーもののスニーカーをリプロダクトしてて、カッコいいの作ってますよ。今季のGraphpaperのシーズンカラーを乗せたのがこの二足です。

W:武井さん、コレ欲しい?

T:いやー、個人的には色がちょっと難しい。レザーの質感はめちゃめちゃ良いけど。

W:“modified skateboarding”って書いてるから、シュータンとかをスケーター仕様にしてるってことか。

T:“German military trainer”ってなってるけど、どういうこと?

R:REPRODUCTION OF FOUNDがドイツ軍のトレーニングシューズをスケートシューズに作り変えていて、今回はこのカラーリングが別注ポイントになってます。

W:とりあえずREPRODUCTION OF FOUNDっていうブランド名が、文章みたいでピンとこない。もっと良い名前をつければいいのに(笑)。

R:そのコメントは初めて聞きました(笑)。

W:それにしても上級者向けの配色だ。

T:コレは今回紹介した中では一番難しいアイテムかも。

W:単品で見ると良いか悪いか判断しづらい。トータルコーディネイトありきで、このスニーカーは映えるのかもしれないね。

南貴之がディレクションする人気ブランド、Graphpaperがコラボレーション先に選ぶのは、ワンシーズン限りではなく、継続的に取り組みができるところが多い。REPRODUCTION OF FOUNDもその一つ。今回はGraphpapaperのカラーパレットをシューズに反映させている。

REPRODUCTION OF FOUND for Graphpaper
GERMAN MILITARY TRAINER/ MODIFIED. SKATEBOARDING ¥31,900(Graphpaper)TEL : 03-6418-9402



UNUSED × SUICOKE

“しかしSUICOKEって本当に人気ブランドになったよね”(武井)

W:軽っ!

R:今回は素材をX-Pac​​にしてポケットを追加したのが別注の仕様です。

T:ポケットを付けたのがUNUSEDのアイデアってことね。

W:いやー、しかし軽いね。

T:SUICOKEのサンダルって持ってる?

W:一足持っていますけど、ソールがめちゃくちゃ重いんだよね。

T:昔のSUICOKEってシャークソールみたいなので有名になりましたよね。けど気が付いたら色々作っているなと。

W:今や世界のSUICOKE ​​だもん。このポケットはやっぱりイリーガルなものを入れるのかな?(笑)。靴のポケットって基本的に隠しポケットじゃん。

T:いや、コレはすぐに分かるでしょ(笑)。

W:じゃあ小銭?

T:それもそれで音がうるさそうだな。

W:鍵とか入れるのか。

T:だけど今のクルマのキーって水濡れしちゃダメだしな。しかも止水ジップじゃないし。

R:いまいち靴のポケットって使い方が分からないですね(笑)

T:まあコレはデザインか。

R:酔ったときって、気がついたらこういうところに変なモノ入れてたりしません?

T:分かる(笑)。いやー、しかしSUICOKEって本当に人気ブランドになったよね。

W:単純にお客さんから人気が高いのかもね。ブランドのニーズにも応えてくれそうだし。

T:しかも安っぽくない。

R:昔だとセレクトショップの別注が目立ってましたけど、最近は錚々たるブランドからオファーがありますよね。

W:さらに開発が進んで、今後もっと履きやすいソールが出てくるとといいな。

さまざまなブランドとの協業が増えているサンダルを中心とした日本のシューズブランドSUICOKEと、UNUSEDによるコラボレーション。伝統にとらわれずに“アイデアを形にする柔軟さ”が、新たな足元の可能性を生み出している。

UNUSED × SUICOKE サンダル ¥23,000+TAX(alpha PR)TEL : 03-5413-3546

(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)



渡邊敦男(『PRODISM』編集長)

1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。

スタイリスト 来田拓也

1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。

武井幸久(HONEYEE.COM)

1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。