MUST-SEE NOW | 角田純 × 角橋俊『In the Making』@Gallery Common
2025.12.05

自然と応答する、ふたりの「制作の現在地」

HONEYEE.COMが、今見ておきたいアート・デザイン展を毎週金曜日に紹介。この「MUST-SEE NOW」を参考に、今週末の“To Doリスト”に加えてみては?

「Gallery Common(ギャラリーコモン)」で、アーティストの角田純と角橋俊による二人展『In the Making』が、2025年11月22日(土)〜12月21日(日)まで開催中だ。

愛知県出身の角田純は、多摩美術大学卒業後、都内でアートディレクターとして活動。現在は山梨を拠点に、絵画やオブジェクトを制作しながら、近年は植物から着想したペインティングとドローイングを中心に展開しており、本展ではその最新作を発表する。

一方で兵庫県出身の角橋俊は、東京のアート系出版社勤務を経て渡英し、現地で陶芸を学ぶ。帰国後は千葉・房総の海辺に拠点を構え、作陶を続けている。本展では、新作の壺やオブジェクト、陶板作品などを展示する。

本展のタイトル『In the Making』は、イギリスの人類学者・ティム・インゴルド(Tim Ingold)の著作に由来し、"つくる"という行為を完成に向かう直線的な過程ではなく、素材や世界との応答の積層として捉える視点を提示。

山梨の山麓にアトリエを構える角田と、房総の海辺を拠点とする角橋。自然と密接な土地で手を動かす二人の制作は、単なる造形行為ではなく、環境と呼応しながら世界を更新する連続的な運動そのものとして存在する。

展示される作品は完成形として並ぶが、それは制作の終着点ではなく、素材の生が一時的に結晶した“一瞬の現在形”に過ぎない。絵画も陶芸も、時間、土地、光、そして鑑賞者との関係のなかで、その意味と表情を更新し続ける存在であることを、本展は静かに示している。

それぞれの土地で、素材と対話しながら紡がれた"いま・ここ"のかたち。その交点に立ち上がる瞬間を、会場で体感したい。

<Information>
角田純 × 角橋俊『In the Making』
会期:2025年11月22日(土)〜12月21日(日)
会場:Gallery Common 東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
会館時間:12:00〜19:00
休館日:月・火曜日