“日本初のシリアル・アイスクリームバー”がオープンする2日前、KITHのCEOであるロニー・ファイグの姿は渋谷・神南のKITH TREATSの店舗の前にあった。
約束の取材時間に到着すると、開店準備のスタッフとの最終チェックや、メディアの取材で多少の疲れを見せていたものの、快くインタビューに応じてくれた。“現在のシューズ・カルチャーを創っている一人”と注目を集める男は、フランクな雰囲気ではあったが、話始めるとその所作や発言には、確かな自信のようなものが滲み出ていた。ハニカムとしては初のインタビューとなる今回、まずはKITHのこれまでの成功の理由、そしてKITH TREATSの現在までの感触について尋ねた。
「KITHはもちろん、シリアル・アイスクリームバーのKITH TREATSは、現在までのところ非常にいい反応をもらっているよ。僕は仕事をする上では、自分で完璧だと思えるところまでとことんやるんだ。それがたとえ多少時間がかかっても、ね。ディティールにこだわるタイプだし、何よりフットウェアであれ、アパレルであれ、フードであれ、そのプロダクトに対して強いパッションを持っている。それがここまでなんとか成功できている理由だと思っているよ。きっちりした母親に育てられたおかげもあるけど、こういうのって生まれつきの性格じゃないかな」


── KITH、そしてKITH TREATSも、日本からも目指して行く人がいるほどの店ですが、なぜ今回KITH TREATSは東京に進出したのですか?
「それはもちろん、東京が大好きだからだよ。確か日本に初めて来たのは2013年頃だと思うけど、それから10回近くは来ている。この国には素晴らしいデザイナーたちがいて、素晴らしいショップが沢山ある、そして僕は何より日本人の気質が好きなんだ。すごくプロダクトに対して高い目線も持っているという点でもね」
── それは日本人としては嬉しいですね。では、ニューヨークと東京の違いはどういう部分ですか?
「ふふ。じゃあ逆に聞きたいんだけど、“君はニューヨークに来たことある?”」
── あります。
「だったら分かるだろ? かなり違う。日本人は人のことをとても敬う人々だし、僕がこれまで出会った日本人は、どんな仕事にも誠意を持って取組んでいるように見える。それが大きな会社のCEOであろうと、インディペンデントな個人であろうとね。そして街も床もいつもクリーンだ(笑)。アメリカはもっと日本から学ぶことが多いはずだと本気で思っているよ。だから4店舗目に東京を選んだんだ」
── そこまで理解してもらった上で東京を選んでいただけたのは嬉しいですね(笑)。もちろんリサーチもされたと思いますが、今回この場所(渋谷・神南)を選んだのは?
「正直キミは、この場所をどう思う?」
── うーん、正直に言えば、東京は新しいものには飛びつきますが、熱しやすく冷めやすいのも東京の特徴です。渋谷は長年のファッションエリアで、もちろんここは立地的には最高の場所ですが、最近はネットやインスタグラムの影響もあって、東京の面白いショップは分散傾向にもありますね。
「うん。ナカメグロとかだろう? それは真実だろうね。僕もそれは分かっている。だからこそそうならないように、定期的にここでアパレルをリリースするとか、いくつも準備していることがあるんだ。それに“シリアル・アイスクリームバー”って日本では初めてのものだよね。 KITH TREATSがオンリーワンであることに僕は自信を持っているし、それがこの街でどう受け取ってもらえるのかが純粋に楽しみなんだよ」